西宮市 歯科【なむら歯科】院長のコラム 兵庫県西宮市の歯科

西宮市 歯科・小児歯科 なむら歯科 0798-23-8404
2012年-5月
歯の痛みについて(2)
A熱いものがしみる
これは冷たいものがしみる場合に比べれば、少し厄介です。むし歯の場合ですと、かなり進んだ状態と考えられます。神経(歯髄)まで侵されている場合に、熱いものがしみます。また一度治療している歯でも、熱いものがしみる場合があります。神経(歯髄)に近いむし歯を治療した場合や、すでに神経を取った歯でも神経が一部残っていた場合に、それが炎症を起こして熱いものがしみる時があります。歯の神経(歯髄)は一本の糸のようなものではなく、樹木のように複雑な枝に分かれている場合がよくあるために、残った神経が炎症を起こすことがあるのです。また歯周病でも進行して歯がぐらぐらするようになると、冷たいものだけではなく、熱いものもしみるようになります。いずれの場合も神経の治療が必要かどうか早目に一度受診されたほうが良いかと存じます。
B甘いものがしみる
これは甘いものとむし歯の関係が明らかなように、むし歯である可能性が高いと言えます。特に若い思春期の方にはそれが顕著に現れます。冷たいものも熱いものもしみないけれど、甘いものだけがしみるケースがよくあります。一見しただけでは、むし歯は見当たらなくても、レントゲン撮影すると深いむし歯が発見される場合が多いのも、特徴の一つです。甘いものがしみるようになったら、むし歯と考えていただいても良いでしょう。そして良く調べてもらうことをお勧めします。
C夜中に痛む
これは我慢ができません。むし歯が大きくて完全に神経まで侵されている場合や、歯周病が進行して歯肉が腫れて膿がたまっている場合です。いわゆる夜間痛といわれる痛みで、ズキンズキンと脈を打ったように痛みます。早急に治療する必要があります。この症状が出ると、一体どこが本当に痛いのか分からなくなります。自分で勝手に決め付けず、必ず全体が写るレントゲンを撮って診断してもらってから、治療することをお勧めします。親知らずの場合でも同じ症状がでます。また後述しますが、まれに歯や歯肉が原因ではない痛みの場合がありますので、注意が必要です。 
次回は咬んだ時に痛い場合です。
2012年-4月
歯の痛みについて(1)
今回は歯の痛みについて述べてみたいと思います。
患者様が歯科医院を訪れる理由の中で一番多いのが「歯が痛いから」だと存じます。「歯が痛い」と言ってもさまざまな痛みがあります。もっと広く言えば、「口の中が痛い」ので来院したと言うのが正解でしょう。
 
たとえば「入れ歯が合わなくて痛い」「歯肉が腫れて痛い」「咬み合わせると痛い」「冷たいものや熱いものを飲んだら痛い」「夜中にずきずき痛む」「顎が痛い」などです。
 
おかげさまで歯科医師になって30年、開業して25年経ちました。毎日毎日患者様を診療しますと、さまざまな痛みに遭遇します。この経験は「継続は力なり」の諺のように、歯科医師としての財産です。この経験をふまえて、専門家から診た視点ではなく、患者様から見た視点で「歯の痛み」について考えてみたいと思います。
 
まず痛みの本質について申し上げますと、痛みは生体の防御反応です。痛みとは身体に異常があることを伝える重要なサインです。つまり何らかの異常が出てきたので、痛むわけです。
 
比較的診断が簡単なのは、「むし歯が進行したから痛い」「歯周病が進行して歯肉が腫れたから痛い」「入れ歯が合わなくて痛い」等です。
しかしながら歯科医院を訪れるまでは、「歯の痛み」の本当の理由は分かりにくいものです。 
まず「痛みの種類」から探っていきましょう。
@冷たいものがしみる
むし歯か知覚過敏の可能性があります。
歯周病で歯ぐきが下がって来ても、冷たいものがしみます。
歯磨き粉の付け過ぎや力を入れ過ぎによる歯磨きで、エナメル質が摩耗することでも、冷たいものがしみます。
歯ぎしりや喰いしばりなどで過度に歯に力がかかっても、エナメル質が破壊して冷たいものがしみます。
外傷(けが)で歯や口を強打したり、固い物を不用意に咬んでしまった時に、歯が破折する時があります。一見なんともないように見えても、エナメル質や象牙質に亀裂が入り、冷たい物が強烈にしみることがあります。
 
このように冷たいものがしみる原因は多種多様です。
おかしいなと思ったら早目に受診をおすすめします。 
次回は熱いものがしみる編です。
2012年-2月
チーム医療について(4)
チーム医療について、今回は歯科衛生士についてです。
歯科衛生士について簡単に説明しますと、医科での看護師の役目と言えます。もちろん国家資格ですので、国家試験に合格しなければなりません。
 
医科でのチーム医療における看護師の役割は、ある意味でドクター以上に重要です。そのことは患者様が医院や病院に行けばお分かりになることと存じます。歯科でも同じことが言えます。チーム医療を目指すにあたって、歯科衛生士は絶対になくてはならない存在です。
 
歯科衛生士の役割は、歯磨き指導やフッ素塗布、歯石除去など、むし歯や歯周病の予防だけにとどまりません。患者様それぞれのお口の状態に合わせた専門的な助言と指導が出来ます。 つまり歯科衛生士とは、患者様のお口の状態(歯と歯肉)をより良くするための国家資格を持った健康アドバイザーです。
 
もちろんそのためには、専門的な技術と経験が必要です。当院では手前味噌ですが、技術経験とも申し分ない優秀な歯科衛生士が、現在3名常勤しています。お口の中の色々な悩みや疑問をぜひ相談して下さい。聞いて良かったと思えるアドバイスが出来ると存じます。
 
最初に申しましたように、当院は担当医制ではありませんので、それぞれの歯科衛生士から個々に、良い助言が得られることが可能です。これもチーム医療のメリットです。これからもスタッフ一丸となって、来院される患者様のお口の中をより良くするよう頑張ります。
2011年-12月
チーム医療について(3)
チーム医療について、今回は女性歯科医師についてです。
当院は現在4名の女性歯科医師が勤務しています。最初に述べましたように当院のスタッフは、女性歯科医師だけが常勤ではありません。
 
少し話が脱線します。私が学生だった30年以上前は、歯学部に限らず医学部もそうでしたが、女性の学生数は全体のわずか10%程度でした。それが現在では歯学部も医学部も50%近く、つまり約半数は女性です。優秀な女性が増えたのではなくて、もともと優秀だった女性が、医学や歯学の分野に進出してきたと言ったほうが真実です。
 
ところが、開業医を見渡せば、医科歯科に限らず、圧倒的に男性が多いのです。このことはある意味で矛盾しています。つまり開業していない優秀な女性医師や女性歯科医師が大勢いるという事実です。この優秀な人材をチーム医療に加えない手はありません。少なくとも私はそう考えます。チーム医療に優秀な女性歯科医師を加えることが、使命だと思います。
 
もちろん、女性歯科医師に治療してもらうことに、違和感や不安感を抱く患者様もいらっしゃると存じます。そんな時は、どうか遠慮なく申しつけください。
直接言いにくい方は、受付で私をご指名ください。喜んで治療させていただきます。
2011年-11月
チーム医療について(2)
チーム医療の最大のメリットは、医療事故の予防です。医科に限らず歯科でも医療事故は頻度こそ少ないものの、十分起こりえます。
 
当院の診療室は、個室ではなくオープンスペースです。オープンスペースの利点は、アクシデントが起こっても、すぐに他のスタッフが駆け付け対応できることです。特に小さなお子様や高齢者の治療には、チーム医療がかかせません。この医療事故の予防こそが、チーム医療の最大のメリットと言えます。
 
なぜ医科と違って歯科ではチーム医療が推奨されないのか、その原因の一つに自費治療があります。根本的に医科と違って、歯科では保険治療と自費治療と二本立てで、治療および経営が成り立っています。自費治療を選択、推奨するには、必然的に金銭問題が発生します。そこで個室治療、担当医制となるわけです。たとえば自費治療は院長が担当、保険治療は勤務医が担当、自費治療患者様は特別扱いで専任の衛生士が担当と差別化をする傾向にあります。このことは決して悪いことではありませんが、歯科も医療の一つである以上、病気(歯科疾患)を抱えた患者様には公平かつ平等な対応が必要と私は考えています。
 
先ほど申しましたように、当院の診療室は個室ではなくオープンスペースです。もちろん診療台ごとにパティーション(仕切り)があり、他の患者様の治療が見えることはありません。しかし時には他の患者様とスタッフの会話が聞こえてくるかもしれません。ただし、それに答えるスタッフの対応は、どんな患者様にも同じです。自費の患者様に特別扱いしたり、自費治療を誘導したりすることは決してありません。基本的に保険で治療をするからです。つまりオープンですから嘘がないというメリットがあります。
 
これは治療するドクターだけに限らず、歯石除去やフッ素塗布、歯磨き指導をする衛生士にも当てはまります。当院には手前味噌ですが、有能で経験豊富な歯科衛生士が、3名常勤していますが、定期検診で歯石除去をする場合でも担当医制にはしていません。1人が診るよりも3人で診る方が、患者様にとって確実にメリットがあります。1人では気がつかなかったむし歯が、他の2人で見つかるかもしれません。これもチーム医療の重要なメリットの一つです。
2011年-10月
チーム医療について(1)
今回は、チーム医療について当院の診療方針をご説明します。
おかげさまで開院25周年を迎えることが出来ました。これもひとえに来院していただきました患者様のおかげと改めて感謝申し上げる次第です。もうひとつは、スタッフ紹介のページにも述べましたが、手前味噌ですが、優秀なスタッフに恵まれたおかげでここまで続けてこれたと確信しています。
 
さて今回述べるチーム医療ですが、ご存じのように医科では随分以前からこの言葉が実践されています。すなわち医師、看護師、薬剤師、理学療法士、介護士、セラピストなど、1人の患者様を医療チームで診察することにより、ベストな治療を行うという意味です。決して医師だけの判断や治療行為だけではなく、医療チームとして患者様の病気を治癒することが、その患者様に取って最良の治療へと結びつくという考えです。

ところが不思議なことに歯科だけが、個室治療や担当医制を強調されています。医科のチーム医療とは逆の発想で、閉鎖的な治療が推奨されています。
私は歯科も医科と同じだと考えます。1人の患者様をスタッフ全員がチームで診療する。すなわち閉鎖的な個室治療や担当医制ではなく、歯科医師、歯科衛生士、そして患者様の様々な相談に乗る受付など、1人の患者様を歯科医療チームとして、スタッフ全員が診療にあたることにより、お口の中全体を良くしていくことが重要だと考えます。
 
当院は現在、院長である私を含め、女性歯科医師4名、歯科衛生士3名、受付助手2名の10名で診療にあたっています。そのうち女性歯科医師以外は、全員常勤です。もちろん交替で休みを取りますので、毎日全員が揃うわけではありませんが、俗に言うパートやアルバイトスタッフはいません。それぞれ責任を持って仕事に就いています。このことは来院していただく患者様に取って、大事なメリットと存じます。
次回はチーム医療がもたらす具体的なメリットをご紹介します。
2011年-9月
入れ歯(義歯)(3)
今回は入れ歯のお手入れ方法について説明します。
@ 入れ歯の洗浄について
入れ歯を洗うことはとても重要です。
お口の中に多数いる細菌が入れ歯にも付着して、口臭の原因になります。できれば毎食後、最低でも一日一回寝る前に、必ず入れ歯をよく洗って下さい。入れ歯専用の歯ブラシもありますが、普通の歯ブラシでも構いません。歯磨き粉は使用しないで、水洗いでOKです。熱いお湯につけるのはやめてください。熱湯で消毒すると入れ歯の変形の原因になります。入れ歯洗浄剤もぜひ使ってください。
A 入れ歯の保管について
入れ歯は原則的に、寝る前には外してお休みください。
例えますと、寝る前に靴を履いて寝ないのと同じです。靴を履いたままですと、足に大なり小なり負担がかかります。入れ歯もはめたまま寝ますと、歯ぐきや口腔粘膜、残っている歯にストレスがかかり続けます。寝ている間は、そのストレスを取ってあげてください。そして入れ歯専用のケースに水を入れて一晩付けておいてください。その際に入れ歯洗浄剤を使ってください。
 
ただし、部分入れ歯の方で、残っている歯がグラグラの方、また歯ぎしりや睡眠時無呼吸症候群と診断された方は、入れ歯をはめたまま寝たほうが良い場合があります。入れ歯を外した方が良いか、はめたまま寝た方が分からない方は遠慮なく相談して下さい。
B 入れ歯の定期検診
せっかく慣れてきた入れ歯も、年月が経つにつれて徐々に合わなくなります。歯ぐきがやせてきたり、部分入れ歯のバネがゆるんだりするためです。市販の入れ歯安定剤を使用しても結構ですが、出来るだけ遠慮なく調整に来て下さい。
 
長い人生、入れ歯は大切なパートナーです。異常がなくても、半年に一度は点検のためにお越しください。それが入れ歯を長持ちさせる秘訣です。調整してもどうしてもダメな場合は、もう一度作り直しましょう。
ベストを尽くす所存です。
2011年-8月
入れ歯(義歯)(2)
新しい入れ歯を使い始めた最初の一ヶ月は、入れ歯に慣れるための大切な期間です。特に初めて入れ歯を入れた方は、完全に慣れるまで、早い人でも最低一ヶ月はかかります。
それでは入れ歯の使い方を順番にご説明します。
@ 最初は、固いものや大きなものを無理に食べずに、やわらかいものや小さなものを中心に食べてください。
例えますと、新しい靴を履いた時に、いきなり全力疾走したり、長時間歩いたりすると、どんなにピッタリした靴でも足が痛くなります。入れ歯も靴も生活になくてはならないものですが、必ず慣れてくるまで無理をしないことが肝心です。このことをぜひ守って下さい。
A 入れ歯は想像以上に強い力で咬むため、最初は歯ぐきに当たって傷つき痛いところが出てきます。その時は遠慮せずに来院して下さい。痛いのを我慢したり、痛いからと言って入れ歯を外しておくと、ますます入れ歯が合わなくなります。入れ歯は入れた後が、本当の治療になります。
皆さんよく誤解されているのは、明日は待ちに待った入れ歯が出来上がるから、明日からは何でも咬めるようになるので、うれしいと勘違いされます。どんなに上手に入れ歯の型を取っても、どんなに上手な技工所(入れ歯を実際に作るところ)に頼んでも、実際の口の動きを100%再現するのは不可能です。ですから入れ歯を入れてからの調整がとても大切です。このことを良くご理解ください。
B ご自分で入れ歯の調整は絶対にしないでください。
よく部分入れ歯のバネ(クラスプ)をご自分で調整するかたがおられますが、入れ歯のバネは大変デリケートに作っています。曲げ過ぎると途端に入れ歯が入らなくなくなったり、逆にゆるくなったりします。この点も注意して下さい。
次回は入れ歯のお手入れについてお知らせします。
2011年-7月
入れ歯(義歯)(1)
今回のコラムは入れ歯(義歯)についてです。
入れ歯と聞くと、皆さんマイナスのイメージを持っておられます。入れ歯は嫌だ、年寄りくさい、取り外しが面倒くさい、などです。確かにその通りです。
 
最近は、インプラント(人工歯根)がテレビや新聞などマスコミで騒がれています。私どもの業界内でも、講習会の広告のほとんどがインプラントです。患者様からも毎日のようにインプラントの質問を受けます。
 
それでは果たしてインプラントが、毎日の歯科治療のどのぐらいを占めると思いますか?
チタン製のインプラントが最初に臨床及び保険に導入されたスウェーデンですら、歯科治療のうちインプラント処置の恩恵を受ける患者様の割合は、4%に過ぎません。もちろん残念ですが日本ではインプラントは保険が効きませんので、歯科治療に占める割合は、もっと低く4%以下です。
 
つまり大多数の患者様は、抜けた歯の部分を固定式のブリッジにするか、入れ歯なのです。だから入れ歯を恥ずかしがる必要は全くありません。堂々と入れ歯を入れてください。
入れ歯にも色々な種類があります。当院では基本的に保険治療を行いますので、まず保険の入れ歯について、メリットを挙げてみます。
@ 保険が効く。
これは費用の面で最大のメリットです。
A 原則的に6ケ月たつと、作り直すことが出来る。
一度作って合わなくても、6か月辛抱すればもう一度トライできる。二回目こそ慣れるかもしれません。
B 修理が比較的簡単にできる。
歯ぐきがやせて、入れ歯が合わなくなったり、他の歯が抜けてしまっても、今使っている入れ歯を使って修理が出来ます。
C 全身状態の悪い方や、身体のご不自由な方、またどうしても抜歯できない理由のある方でも、入れ歯は作ることが出来ます。
どうですか皆さん、入れ歯も捨てたものではないでしょう。
次回は、入れ歯の使い方を説明します。
2011年-6月
歯の磨き方〜心をこめて〜(6)
お身体のご不自由な方の歯のお掃除の仕方について、少し説明します。
実は私の父が、6年前にくも膜下出血で倒れ、長い入院生活の後、半身不随になりました。歩くこともできず、もちろん歯を磨くこともままならない生活となりました。元気な頃、兄(歯科医)や私が作った部分入れ歯をはめて、何でも不自由なく食べていましたが、退院後はその入れ歯も全く合わなくなり、手が不自由なため入れ歯の取り外しも困難になりました。
 
もちろん退院後に何度か父に入れ歯を作りましたが、取り外しがどうしてもできず、窮余の策としてバネ(クラスプ)のない入れ歯も作りましたが、結局していません。歯も磨かなくなりました。リハビリ施設で、医療関係者から父に「入れ歯を作ってもらってね」と言われますが、まさか2人の息子が歯科医師であるとは思っても見ない、とんだ笑い話です。
 
結論から先に申し上げますと、無理なことを強要せず、できることだけをしてあげるのが、肝要です。入れ歯をどうしても入れなければ噛めない、むし歯を完全に治療してあげなければダメだ、歯を毎日しっかり磨いてあげなければいけない、などとは考えずにできることだけ、本人が望んでいることだけをしてあげることが、大切です。
 
父は時折、歯が痛いと言って、車いすを押してもらって、私の診療所にひょっこり現れます。そして治療途中のむし歯治療と併せて、衛生士に歯のクリーニングをしてもらって帰ります。クリーニングが終わった後の父の満足そうな、歯抜けの笑顔を見ていると、医療の本質を垣間見る気がします。
2011年-5月
歯の磨き方〜心をこめて〜(5)
「どんな歯ブラシを選べば良いですか?」とよく質問を受けます。まず歯ブラシの長さです。歯をよく観察すると、歯は平面型ではなく球面型です。そして食物を咀嚼しやすいように前歯や犬歯、奥歯とそれぞれが複雑な形をしています。さらに歯並びはまっすぐではなく湾曲しているために、驚くほど磨きにくい構造になっています。しかもむし歯や歯周病の原因となる歯垢(プラーク)がたまりやすいのは、歯と歯の隙間、歯と歯肉の境目、奥歯の深い溝のところなど、一番歯ブラシの届きにくい場所です。
 
そんな磨きにくいところを掃除する、つまり磨くわけですから、必然的に歯ブラシはコンパクトな小さめのものになります。ブラシの部分の長さは、奥歯2本分ぐらいの長さ、約2cmが理想です。ブラシ部分が長すぎると、届きにくい場所が出てきます。このことは、電動歯ブラシ(音波歯ブラシ)の替えブラシにも同じことが言えます。最近、丸い形をした毛先が回転する電動歯ブラシをよくみかけます。私も使用してみましたが、毛先自体が固く、丸い形をしているために、歯と歯肉の隙間や境目が磨きにくく良いとは言えません。
 
歯ブラシ、電動歯ブラシ(音波歯ブラシ)問わず、毛先はできるだけ、やわらかめがおすすめです。特に男性は硬い歯ブラシを好む傾向がありますが、これは誤りです。硬い歯ブラシでゴシゴシ磨くと、歯肉を傷つけるばかりではなく、エナメル質が摩耗して、知覚過敏や歯周病の原因となります。くりかえし申しますが、歯を磨くのではなくて、歯の掃除をするのです。そのためには、コンパクトでやわらかめの歯ブラシを使用してください。
 
同じ理由ですが、磨く力もほどほどにしてください。ほとんどの人が、必要以上に強い力で磨いています。できるだけ軽く磨く、そのためには、鉛筆もち(ペングリップ)で歯ブラシを持って磨いてください。そうすれば手首が支点となりますので必要以上に力が入りません。手のひらで握る磨き方(ワームグリップ)では、肘が支点となるため力が入り過ぎます。最近は電動歯ブラシでも、女性に人気のポケットタイプで、ペングリップで磨けるのが出ています。
 
次回は、お体のご不自由な方の歯のお掃除の方法について、述べて見たいと思います。
2011年-4月
歯の磨き方〜心をこめて〜(4)
第四章は、どんな方法で歯の掃除をするのかです。
まず歯ブラシです。まさしく「ほうき」です。そして電動歯ブラシです。これは「掃除機」です。最近は音波歯ブラシと言って、とても高性能なものが出ています。これを使用しない手はありません。以前「電動歯ブラシ使用の是非について」コラム(2008年11月)を書きましたので、詳しくはそのコラムを参照していただければ幸いです。高性能な音波歯ブラシは、歯垢が効率よく取れます。ただし使い方にコツがあります。当院では、経験豊富な歯科衛生士が3名常勤しており、効果的な音波歯ブラシの使用方法を伝授します。ぜひお尋ねください。
 
しかしながら歯ブラシだけでは、すみずみまで歯の掃除はできません。どうしても汚れが残ってしまします。そこで、登場するのが「フロス」「歯間ブラシ」「ワンタフト」です。この3つのアイテムは、歯をすみずみまで掃除するのに、欠かせないアイテムです。少なくとも一つだけはぜひ毎日使用してください。アメリカでは 「Floss or Die?」という有名な言葉があります。フロスを毎日しなければ、寿命が縮まりますよということです。また歯の先進国といわれるスウェーデンでは、ワンタフトを使って短時間で効率よく歯垢が取れる効果的な歯磨き方法が推奨されています。
 
私の臨床経験からは、日本人には「歯間ブラシ」が向いていると思います。特に男性の方は、「つまようじ」を使用する方が多いので、「つまようじ」感覚で「歯間ブラシ」を使ってください。この両者の違いは、歯垢が取れるかどうかという点です。「つまようじ」では食べカスは取れても、肝心の歯垢は取れません。歯垢を取るためには「歯間ブラシ」です。
 
ただし、歯間ブラシには、サイズがあります。歯と歯の隙間によって適切なサイズの大きさの歯間ブラシを使用しないと効果がありません。この点についても当院の歯科衛生士に、ぜひご相談ください。ジャストサイズの歯間ブラシを教えてくれます。
 
「フロス」は、歯と歯の隙間が小さい方、つまり歯周病ではない健康な歯肉の方や、子供さんから若い方にお勧めです。また食べカスがはさまりやすいところにも効果的です。
 
「フロス」と言えば、糸を指に巻いてする方法が一般的ですが、慣れないと難しく面倒なものです。当院では、コンパクトな大きさでU字形をした、最初からフロスの着いた器具を使う方法を推奨しています。この方法なら、フロス初心者でも簡単に使用が出来ます。また使用するフロスもテクミクロンという材質を使用していますので、簡単に切れにくく使い捨てではありませんので、約一週間ぐらいは使用できます。また奥歯にもスムーズにフロスが入りますので、とても使用後が快適です。ただし歯科医院専用ですので、一般のドラッグストアには置いていません。このフロスについても、ぜひ当院の歯科衛生士にお尋ねください。
 
「ワンタフト」とは、普通の歯ブラシと歯間ブラシの中間のサイズの小さな歯ブラシのことです。これも歯と歯の隙間や歯と歯肉の間を磨くのに適したアイテムです。歯間ブラシのように、細い金属のワイヤーが入っていませんので、歯や歯肉を傷つけることなく、磨けるのが特徴です。スウェーデン型プラークコントロールと言われて、最初に磨きにくいところを、ワンタフトブラシで磨いて、その後普通の歯ブラシで磨くという方法がお勧めです。また親知らずやブリッジが入っているところなどにも、とても有効です。このワンタフトブラシの使い方についても、ぜひ直接お尋ねください。
 
次回は、歯ブラシはどんなものを選べば良いのか、どれくらいの力で磨けば良いのかをお伝えします。
2011年-3月
歯の磨き方〜心をこめて〜(3)
第三章は、どこで歯の掃除をするのかです。時間は寝る前もしくは入浴中だと言いました。入浴中の場合はもちろんお風呂の中です。それでは寝る前の歯の掃除は、洗面所でするのかと言うとそうではありません。残念ながらどこのご家庭でも洗面所は、夏は暑いし冬は寒いのが実情です。しかも立ったまま磨くことになります。これが一番良くありません。
 
歯の掃除をていねいにしようと思えば、やはり座って磨くのが一番です。しかも快適なリビングか寝室が良いでしょう。もちろん歯磨き粉は付けません。歯磨き粉をたくさん付けると、すぐにうがいがしたくなりますので、洗面所で磨かなければなりません。それではていねいな歯の掃除はできません。すわってリラックスしてゆっくり時間をかけて歯の掃除をする。場合によっては、本を読みながらでも、テレビを見ながらでも、ネットやメールしながらでもOKです。
 
私の場合は、就寝前フットマッサージ機をしながら、音波歯ブラシで歯の掃除をしています。フットマッサージ機のタイマーを20分にセットしていますので、最低でも20分はします。不思議なことに、どんなに多忙な方でも(主婦や子供さんも含めて)、朝より夜のほうが、時間が緩やかに流れているのではないでしょうか。朝の忙しい時間に毎日20分も必ず磨いてくださいという方が、無理なお願いです。朝は時間の許す限りで結構です。ササッと磨くだけでもOK。
ただし寝る前は必ず時間をかけて歯の掃除をしてください。できれば20分を目標に磨いてください。
 
そして歯の掃除が終わったら、洗面所に戻って口をゆすいでください。これでおやすみです。
次回は、歯の掃除をする道具についてお話します。どんな道具を使えば、最も効率良く歯の掃除ができるかをお知らせします。
2011年-2月
歯の磨き方〜心をこめて〜(2)
第二章は、それでは一体、いつ歯の掃除をすれば一番効果的なのかをお知らせします。第一章で、入浴時間の長い女性の方は、お風呂に入って湯船につかりながら歯を磨くのが効果的だと伝えました。ただし忙しいお母さんには不向きです。男性や子供にも向いているとは言えません。
 
ここで歯の掃除をする際に、重要な要素をひとつお知らせします。それは唾液です。唾液にはさまざまな作用があり、その中で重要な作用に抗菌作用(悪い細菌を退治する)があります。ご存じのように、むし歯も歯周病も細菌による感染症です。その細菌の住みかが、むし歯や歯周病の原因となる歯垢(プラーク)です。どんなに素晴らしい歯磨き粉も唾液に優るものはありません。その一番の味方である唾液の分泌量が、最も少なくなるのが、寝ている間です。
 
つまり、むし歯や歯周病の原因である細菌が最も活動しやすくなるのが、就寝中です。わかりやすく言えば、寝ている間にむし歯や歯周病が進行するのです。ここでもうお分かりかと存じますが、寝る前に悪い細菌をシャットアウトするのが、最も効果的です。
 
寝る前に歯の掃除をしてください。しかもできるだけていねいに掃除をしてください。そうすれば、むし歯も歯周病も進行せず、予防できます。特に、ご家族で生活されている方は、ぜひ皆さんで「寝る前の歯磨き」を習慣にしてください。
 
あえて理想を言わせてもらうなら、歯科医院に通うのは、数か月ごとの定期健診だけ、その時に、親切で優しい歯科衛生士に、むし歯のチェックと歯石や歯垢を取ってもらって、歯磨き指導を受けるだけ、そんな患者様にぜひあなたもなってください。
 
次回は、歯の掃除をするのは、一体どこですれば良いのか。洗面所ですか?いいえ違います。また、どれくらいの時間歯の掃除をするのが良いのかをお知らせします。
2011年-1月
歯の磨き方〜心をこめて〜(1)
今回のコラムは、歯の磨き方について、シンプルに心をこめて、僭越ですが歯科医師としての約30年のキャリアを凝縮したお話を述べさせていただきます。
 
まず第1章として、誰が為に歯を磨くのか、何故に歯を磨くのかをお話します。一言、習慣と言えば、それまでですが、実はそうではありません。みなさんなぜ毎日お風呂に入るのでしょうか?
一日の疲れを取るため、体のきれいにするため、さっぱりするためなど多々あるでしょうが、一番の理由は体の汚れを取るためではないでしょうか。歯を磨くのも同じ理由だと言えます。毎日食事をしたり、飲み物を飲んだり、人としゃべることにより、必然的に口の中は汚れてきます。お部屋の掃除をしたり、お風呂に入ったりするのと同じように、歯も磨く必要があるのです。
 
ここで重要なことは、歯を磨くのではなく、歯の掃除をするという感覚です。お風呂に入ってゴシゴシ体を磨くより、ゆっくり時間をかけて隅から隅まで、ていねいに体を洗うほうがきれいになります。お掃除でも同じでしょう。ゴミやホコリがたまりやすい場所を、時間をかけてていねいに掃除すればするほど、きれいになります。ゴミやホコリがたまりやすいのは、隙間や隅っこのはずです。口の中も同様に、歯と歯の間や、歯と歯肉の間の隙間に汚れが最もたまりやすく、そこを重点的に時間をかけて掃除してください。そうするとお口の中がきれいになります。磨きやすい前歯の表面や奥歯の噛み合わせの面ばかり磨いていると、どんどん汚れがたまっていきます。お風呂に入らず体が臭い人、掃除をしなくて部屋が散らかり放題の人、歯もろくに磨かず口の臭い人、誰でもそんな人にはなりたくありません。誰がために歯を磨くのか、自分自身と愛する人のために磨くのです。
 
むし歯や歯周病の予防に歯をしっかり磨けといくらわめいても、なかなかできるものではありません。それがみんなできれば、私たちは失業です。少し観点を変えて、お風呂に入ったり、掃除をするのと同じ感覚で、歯の掃除をする。これがポイントです。そういう意味で、お風呂に入って歯を磨くのは、良い方法です。特に女性は入浴の時間が長いので、湯船につかりながら、歯もていねいに掃除してください。男性は概して入浴の時間が短めですので別の方法をお勧めします。
 
毎日時間をかけて、ていねいに歯の掃除をしない人、そんな人がむし歯や歯周病になるのです。
2010年-12月
知覚過敏について(2)
知覚過敏の対処方法と治療方法ですが、まずその原因を診断することが重要です。最も多い“くさび状欠損”による知覚過敏ですが、よく観察すると歯垢がたまって、すでにむし歯になっている場合があります。その時は神経を保護する薬を塗って、レジンをいう歯と同じ色の合成樹脂を詰めます。またむし歯になっていなくても、“くさび状欠損”が大きくなって、かなりしみる場合でも同様な処置を行うことにより、象牙細管を封鎖し刺激を遮断します。これでほとんどの方は、いままでしみていたのが嘘のように、ピタッと良くなります。歯と同じ色ですので、見た目もわからず、違和感もありません。
 
また軽度な場合は、セルフケアで知覚過敏を予防できます。当院では、知覚過敏用の歯磨き粉のサンプルを無料でご用意しています。
 
歯周病が原因で起こる知覚過敏の場合は、歯周病の治療を優先します。治療の過程で一時的に知覚過敏が増すことがありますが、少しずつに良くなります。
 
注意していただきたいのは、知覚過敏を自己判断で放置しないことです。一見知覚過敏に見えても、実は神経まで侵されているむし歯であったり、重症の歯周病であったりすることがよくあります。かかりつけの歯科医に相談することが肝要です。
 
そして知覚過敏で一番重要なことは、適切な歯磨き方法を学ぶことです。手前味噌ですが、当院には経験豊富な歯科衛生士が3名常勤しています。知覚過敏にならない適切なブラッシング方法を伝授いたします。ぜひご相談ください。
余談ですが、最近の新聞報道で、歯に直接はって知覚過敏の治療に役立てる「ばんそうこう」を開発したと載っていました。知覚過敏で悩む方のためにも、一日も早く実用化して、厚労省の認可を得て保険適用を望む所存です。
2010年-11月
知覚過敏について(1)
“歯がしみる”症状で、歯科医院に行き「知覚過敏」と言われたことがある方も多いと存じます。そもそも知覚過敏とは、むし歯でもないのに、冷たい物を口にした時、歯がしみたり、歯ブラシが歯に触れた時に、歯がしみたり、冷たい風が歯に当たった時に、瞬間的に歯がしみるなどの症状で、日本人の4人に1人が経験したことがあると言われる症状です。
 
原因は、もともと歯の一番外側をカバーしているエナメル質がなくなり、その内側にある象牙質と呼ばれる組織が露出すると、露出した象牙質にある“象牙細管”というパイプを通じて、歯髄(歯の神経)に直接刺激が行くため、瞬間的な痛みが生じるのです。これが知覚過敏の原因です。
 
なぜ、象牙質が露出して知覚過敏が起こるのか、これには様々な理由があります。最も多いのが“くさび状欠損”です。歯磨き粉の付け過ぎや間違った歯磨き方法を、長期間していると、エナメル質が削れてしまい象牙質が露出してしまいます。また、歯ぎしりや喰いしばりなどで強い力が歯に長時間加わると、歯に亀裂が生じて、エナメル質が欠けて同じく象牙質が露出します。瞬間的に噛む力の強いスポーツ選手にも時折見られます。かみ合わせが悪く、偏った歯に力が加わった時にも生じます。
 
次に多いのが、歯周病による歯肉の退縮です。歯周病で歯ぐきが下がってきますと、歯の根の部分が見えてきます。歯根と言われる歯の根の部分には、エナメル質がありません。それでしみてくるのです。
 
その他では、酸蝕症といわれるもので、酸性の強いものをよく口にされる方、たとえば炭酸飲料水や、お酢などを毎日沢山飲まれると、歯の表面のエナメル質がとけてしまい象牙質が露出して、しみるようになります。
 
そんな症状にお悩みの方に、知覚過敏がピタッと治まる治療方法があります。次回は、知覚過敏の対処方法および治療方法を具体的にお知らせします。
2010年-10月
こどものむし歯を予防しよう(vol.4)
まとめますと、こどものむし歯を予防するためには、
1. 寝る前の仕上げ磨きを欠かさない。
(できれば小学校卒業まで仕上げ磨きをしてください)
2. かかりつけの歯科医院に定期的に通う。
(定期的に歯みがき指導やフッ素塗布・シーラントをしてもらってください)
3. 毎日の食生活に気をつけてあげること。
(甘い物の制限はほどほどに。良く噛む習慣をつけてあげてください)
昨今、フッ素入りの歯磨き粉、キシリトールなどむし歯予防関連商品が話題ですが、確かに効果はあります。しかし過信は禁物です。基本は歯みがきによる歯垢(プラーク)除去です。また甘い物の制限以上に大切なことは、よく噛む習慣をつけてあげることです。ジャンクフードもほどほどにしてください。
 
お母さん、「早く食べなさい!」と言っていませんか? この言葉はNGです。
「ゆっくり、よく噛んで食べなさい!」 この言葉を繰り返し言ってあげてください。良く噛んで食べて、その結果、塾に遅れたり、野球やサッカーの練習時間に間に合わなくても、泰然自若としてください。それでこそ、こどもは男女問わず大物に育ちます。
 
成長期におけるこどものむし歯予防は、学習能力、身体能力両面で、とても重要です。基本的な身体作りに不可欠であると同時に、人生の出発点における重要課題であるといっても過言ではありません。
 
お父さん、お母さん、そしてお祖父ちゃん、お祖母ちゃんもこのことを良く認識してください。たとえ一人きりでこどもを育てなくてはならなくても、心配無用です。私たち専門家がついています。遠慮なくお越しください。
2010年-9月
こどものむし歯を予防しよう(vol.3)
「仕上げ磨きは、何歳まで必要ですか?」とよく質問を受けます。
最近の小学生は、とても忙しいのが実情です。勉強のための塾通い、スポーツのためのクラブ通いなど、学校から帰ると遊んでばかりだった私の頃と比べると、まるで両親を個人タクシーの運転手がわりにして、忙しい毎日です。
 
しかし院長紹介のページにも記載しましたが、塾の勉強と同じくらいに、毎日の歯磨きは重要です。男の子女の子に関係なく、できれば小学校卒業まで、寝る前の仕上げ磨きをしてあげてください。
 
そして、どんなに忙しくても、定期的にかかりつけの歯科医院に通ってください。前回も申しましたように、専門家に定期的に見せる、これがむし歯予防の極意です。
 
その際に、不幸にもむし歯が出来ているので治療しましょう、と言われてもがっかりしないでください。
 
「むし歯ができるのは、お母さんに責任があるんですよ」
「こどもがむし歯になるのは、お母さんがしっかり仕上げ磨きをしないせいですよ」  
私はもちろん、当院のスタッフは全員、こういう言葉は決して言いません。
なぜなら、こどもを産んで育児をするということは、想像以上に過酷な毎日であることを、スタッフ全員が認識しているからです。お一人でも大変ですが、2人目3人目のお子さんとなると、想像を絶する毎日です。
 
「歯磨きだけ頑張るわけにはいかないですよね」とお母さんには優しく投げかけています。手前味噌ですが、当院では経験豊富な歯科衛生士が3名常勤し、それぞれの子どもさんに合った歯磨き指導とむし歯予防法を伝授します。また女性歯科医師も勤務していますので、優しく治療できます。フッ素塗布、シーラントも積極的に行っています。
 
必要以上に甘いものを制限したり、他の子どもさんと極端に違う生活習慣は取らずに、もっと自由に育ててあげてください。むし歯の一本や二本出来たからと言って、悲観せずにプラス思考で子育てする、これもむし歯予防の秘訣です。
 
言うまでもなく、こどもさんの将来は、大人になってからが重要です。歯磨きも、むし歯も、食生活も、大人になった時に、つまり永久歯にすべて生え換わってからが、肝心です。そのためのこどものむし歯予防と考えてください。
2010年-8月
こどものむし歯を予防しよう(vol.2)
こどもの歯は、生後6カ月に下の前歯が生え始め、おおむね3歳頃までに計20本生え揃います。
まず乳歯のむし歯は、永久歯の歯並びに影響するということを認識してください。次に乳歯のむし歯の特徴は、エナメル質が永久歯に比べて薄く、むし歯の進行が早い、歯と歯の間から大きく広がり、すぐに痛みを感じにくい、などが挙げられます。
 
また乳歯のむし歯の原因として、寝る前の飲食物の摂取が大きな要因の一つです。わかりやすく言えば、寝ている間にむし歯になるのです。
つまり乳歯のむし歯を防ぐには、寝る前の仕上げ磨きが最も重要な予防法と言えます。
 
確かに、食べたらすぐ磨く、おやつは決まった時間に与える、同じスプーンを使用しないことなども、むし歯予防の有効な方法に違いありませんが、それではかわいいお孫さんを預かったお祖母ちゃんやお祖父ちゃんが、たまったものではありません。私は自身の経験から、子育てはもっと自由にやればいいと考えています。
 
ただし寝る前の歯磨きだけは、絶対に欠かさない。これだけは守ってください。しかも歯磨き粉はつけないでください。小さい頃の習慣というのはとても重要です。小さいころから寝る前に歯を磨く習慣をつけてあげれば、それこそ孫子の代まで続きます。かわいいお孫さんをお膝の上に乗せて、むかしばなしを聞かせながら歯を磨いてあげてください。きっとお孫さんが大人になったときに、良い思い出になることでしょう。
 
そしてお母さんとお父さんは、寝る前の仕上げ磨きはもちろん、仕上げ磨きをするときに、こどものお口の中をよく観察してください。このことはお祖母ちゃんやお祖父ちゃんにはできない、こどものむし歯予防に大変重要なことです。
 
ですから仕上げ磨きは、必ず明るい部屋でしてください。お口の中がよく見えるように、できるだけ歯の状態、歯肉の状態を観察しながら磨いてあげてください。歯磨き粉をつけるとそれができません。そして少しでも変だなと思ったら、迷わず歯科医院へ連れて行ってあげてください。つまり専門家にみせるということです。これこそこどものむし歯予防の極意です。
いわゆる早期発見、早期治療です。
2010年-7月
こどものむし歯を予防しよう(vol.1)
今月から、こどものむし歯を予防しようというテーマで、シリーズでお伝えします。お母さんとお父さんだけではなく、かわいいお孫さんがいるお祖母ちゃんとお祖父ちゃんもぜひ読んでください。
 
まずこどものむし歯を予防するには、妊娠中から予防がスタートします。生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には、むし歯の原因菌であるミュータンス菌が存在しません。ほとんどの場合、お母さんから感染します。つまりお母さんのお口の中が大事なのです。
 
ご存じのように、妊娠中は女性ホルモン(エストロゲン)の影響で、お口の中の細菌が繁殖しやすくなります。さらに、つわりがひどいと口腔内の清掃状態が悪くなります。出産したら歯がガタガタになったとよく耳にしますが、実は妊娠中から悪くなっているのです。ですから妊娠中は、いつも以上に歯ブラシを念入りにしてください。
 
お母さんに質問します。赤ちゃんの歯はいつごろからでき始めるかご存知ですか?
実は妊娠中にでき始めるのです。乳歯は妊娠7週からでき始めます。永久歯も妊娠4ケ月からでき始めるのです。その時期にお母さんの体に強いストレスが加わると、乳歯はもちろん永久歯にも悪影響がでます。歯の変色やエナメル質の形成不全もそのひとつです。むし歯になりやすい歯ができてしまうのです。
飲酒、タバコはむろん、できるだけストレスのかからない規則正しい生活を心がけてください。そのためにはお父さんの協力がかかせません。
 
当院では、経験豊富な3名の歯科衛生士が常勤し、口腔衛生指導を行っています。また女性歯科医師も勤務しています。妊娠中でも、4カ月から7カ月までの安定期なら、歯石除去や通常のむし歯治療ができます。ぜひ生まれてくる赤ちゃんのために来院してください。お待ちしています。
次回は、出産後のむし歯予防のお話です。
2010年-6月
歯磨き粉について(3)
前回は歯磨き粉の極端な使用例をお知らせしましたが、結論は最初に申しました通り、どんな歯磨き粉も歯磨きの際の補助的なのもだという考えで使用していただきたいということです。
 
 具体的に説明します。まず歯磨き粉を付け過ぎるとすぐに口の中が泡だらけになるか、液状の歯磨き粉ですと唾液が多量に出てしまい、すぐに口をゆすぎたくなります。これが歯磨き粉使用の最大のデメリットです。
 
 虫歯や歯周病の原因である歯垢(プラーク)を歯ブラシで取り除くには、相応の時間が必要です。すぐに口をゆすいだのでは、歯垢は完全には取り除けません。磨いたのと磨けたのでは、大きな差があるのです。
 
 当院では、経験豊富な歯科衛生士が3名常勤し、患者様に最適な歯磨き指導と歯磨き粉の使用方法をご指導しています。まずは、定期健診を受けてご自分に合った歯磨き方法をマスターしてください。
2010年-5月
歯磨き粉について(2)
それでは具体的な歯磨き粉の使用方法をお知らせします。まず極端な事例からお話しします。僭越ですが私の場合です。
 
 私は残念ながら歯磨き粉は使用しません。朝は手磨き、昼はデンタルフロス、夜は音波歯ブラシを使用しています。一度も歯磨き粉は使用しません。ただし、どうしても歯にステインという外来性の色素が沈着し、歯の表面に着色します。いわゆる茶渋というものです。
 
私はタバコも一切吸いませんし、コーヒーも飲みません。アルコールも滅多に口にしません。ですから普通の方に比べればステインは付きにくいほうなのですが、それでも少量ながらステインが歯に付いてしまいます。職業柄、歯の着色は、たとえむし歯でなくても致命傷になりかねませんので、そのステインを取るために、週に一回だけ歯磨き粉を使用します。ご存じのように歯磨き粉には、多かれ少なかれ研磨剤が含まれています。
 
その研磨剤の成分によって、簡単にステインは取れます。以前は月に一度だけ歯磨き粉を使用していましたが、最近は健康のためお茶をよく飲むようになり、週に一回使用しています。これで必要十分です。
2010年-4月
歯磨き粉について(1)
歯磨き粉について、患者様から良くご質問を受けます。毎日使用するものですから、いったいどんな歯磨き粉が良いのかお悩みになるのも当然です。大手のドラッグストアでは、たくさんの歯磨き粉が所狭しと並んでいます。
最近は、液状の歯磨き粉、フッ素入りの歯磨き粉、知覚過敏に効く歯磨き粉、歯周病予防の歯磨き粉、歯を白くする歯磨き粉、など様々な種類の歯磨き粉が市販されています。
 
結論から述べますと、歯磨き粉はあくまでも歯磨きの際の補助的なものですので、歯磨き粉に頼らない歯磨き方法の習得が大事だということです。
なぜなら、どんな素晴らしい歯磨き粉で磨いても、きちんと歯ブラシが当たっていなければ、汚れ(歯垢)は落とせないからです。またフッ素入りや歯周病などの薬用成分配合の歯磨き粉も、毎日使用し少量ながらも飲み込むことを前提としているため、成分の濃度が低く過信は禁物です。
 
それでは一体どうやって使用すれば、有効に歯磨き粉を使用できるのか、次回具体的にお知らせします。
2010年-3月
睡眠時無呼吸症候群の治療(4)
スリープスプリントを実際に装着して感じることは、顎が固定されることによる違和感です。鼻が完全に詰まっていると特に呼吸がしにくいと思われます。また起床時は顎がだるく、顎の周辺の筋肉痛を感じます。しかしこれは徐々に慣れてきます。また歯に矯正的な外力が働いて、歯根膜炎を起こすこともあります。
 
問題の費用ですが、「睡眠時無呼吸症候群である」という診断書があれば、保険が適用できますので、3割負担で約15000円ぐらいです。診断書がない場合は、自費治療になりますので、約40000円から約60000円かかります。
 
最後に、睡眠時無呼吸症候群の原因は、口呼吸、鼻中隔湾曲症、扁桃腺肥大、開口、肥満、加齢等多種多様ですので、治療すれば100%効果が出るとは限りません。特に歯科で行うスリープスプリント療法は、軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群の患者様により効果的と言われています。しかしながら、「大きないびき」に悩まされている方には、ぜひともトライしてみる治療方法だと思います。ご遠慮なくご相談ください。
2010年-2月
睡眠時無呼吸症候群の治療(3)
今回、母校の臨床研修会に参加して痛切に感じたことは、歯科で出来る睡眠時無呼吸症候群の効果的な治療方法であるスリープスプリントの作製方法は、それ相応の解剖学的知識と作製技術が必要であるということです。文字通り「百聞は一見にしかず」です。
 
実際に自分自身のスリープスプリントを作製し、いかに効果的に下顎を前方位にして気道を確保するか、また医科と連携してスムーズに診療を行うための知識とテクニック等を学びました。改めて母校の同窓会に感謝申し上げる次第です。
 
さて、具体的に患者様の治療内容を申し上げますと、初回はまず睡眠時無呼吸症候群であるかどうかの診断が必要になりますので、耳鼻科または内科に紹介状をお書きします。二回目に、上顎と下顎の歯型を取ります。三回目に、上下額のマウスピースをお口の中に入れて、下顎を少し前に出した状態で上下のマウスピースを固定します。これでスリープスプリントが完成です。もちろん装着は就寝中だけですが、最低でも2,3回調整が必要です。次回は装着の注意点と費用をお知らせします。
2010年-1月
睡眠時無呼吸症候群の治療(2)
まず治療方法を具体的に説明する前に、ご自身が睡眠時無呼吸症候群であることを認識してもらわなければなりません。ご家族の方から、就寝中「大きないびき」をかく等、具体的な症状が聞かされると要注意です。この病気は前回も申しました通り一般的な病気ですので、恥ずかしがる必要は全くありません。最も有名な患者様は、鳩山由紀夫首相です。
 
残念ながら歯科では治療はできますが、正確な診断は耳鼻咽喉科または内科でしていただきます。治療方法は主に2通りです。一つは耳鼻科または内科で行うCPAP療法といわれるもので、就寝中に鼻にマスクのようなものを装着し、空気を継続的に送り込み呼吸をしやすくする方法です。治療効果が高い反面、装置が大きく装着が煩わしい、携帯性が悪いといった欠点もあります。
 
それでは歯科でできる効果的な方法とは、特殊なマウスピース(スリープスプリント)を就寝中装着することで、下顎を前方に移動させ呼吸路を確保するという方法です。携帯性が良く、耳鼻科または内科の「睡眠時無呼吸症候群」であるという診断書があれば、保険が適用できます。
具体的な作成方法と装着の注意点は、次回お知らせします。
2009年-12月
睡眠時無呼吸症候群の治療(1)
日本で睡眠時無呼吸症候群の患者は、120万人以上と言われています。さらに習慣性いびき患者は、1600万人以上と言われています。平成21年10月22日の朝日新聞の記事によりますと、男性サラリーマンの5人に1人が治療が必要な睡眠時無呼吸症候群だったことが、京都大学の陳和夫教授の調査でわかりました。
 
ご存じのように睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に、のどの奥が詰まり呼吸が断続的に止まり、繰り返し「大きないびき」をかく病気で、昼間に眠気に襲われ交通事故を起こしたり、高血圧や糖尿病など様々な生活習慣病を引き起こします。特に欧米人に比べて日本人は、顎顔面形態の人種的特徴のため、肥満でなくても睡眠時無呼吸が発生しやすいことが知られています。
 
今回、当院に来院されている患者様のかねてからの要望もあり、母校の大阪大学歯学部同窓会臨床研修会「睡眠時無呼吸症候群治療のノウハウ」に参加してきましたので、歯科で出来る最も効果的な治療方法を、次回ご報告いたします。
2009年-11月
口の中の「がん」について(その3)
 前回の続きです。それでは、実際にどんな症状が現れたら要注意なのか簡単にご説明します。まず全体に言えることは、初期のがんは、痛みを伴わないことが多いということです。わかりやすく言えば、痛みがないのに変な感じ(違和感がある)がつづくと注意が必要です。
 
 まず(1)口の中に、「しこり」や「はれ」がある。舌や頬っぺたにできた「しこり」や「はれ」は要注意です。次に(2)口の中の粘膜が赤くなったり、白くなっている部分がある。粘膜が赤くなる病変の中に「紅板症」、同じく白くなっている病変の中に「白板症」があり、ともに前がん病変(がんになりやすい状態)です。(3)口内炎が2週間たっても治らない。口内炎に良く似た歯肉がんが疑われます。(4)入れ歯が痛みや腫れで合わなくなったり、違和感がある。(5)口の中から原因不明の出血がある。
 
 口の中はご自分で鏡で見ることができます。定期的に鏡でチェックする習慣をつけて、おかしいと思ったら遠慮なくお越し下さい。まず一度拝見させてください。そして異常がなければそれで終わりです。万が一、がんの可能性が少しでも疑われましたら、経験豊富な口腔外科の専門医を即刻ご紹介します。悩まずぜひ受診して下さい。
2009年-10月
口の中の「がん」について(その2)
 口腔がんの最大のリスクは、タバコとお酒です。ヘビースモーカーとアルコール大量摂取者では、全然タバコを吸わず、全くお酒を飲まない人に比べて、口腔がんになる確率は、約50倍と言われています。
 
 次にリスクがあるのは、むし歯、合わない入れ歯、歯周病です。むし歯で欠けた歯を放置していたり、入れ歯やさし歯が合わずに、舌や歯肉を傷つけたりしていると、口腔がんが発生しやすくなります。また口腔がんが発生した人の多くは、歯石や磨き残しが多く歯周病になっています。
 
 つまり予防方法としては、(1)タバコ、お酒を控える、(2)むし歯や歯周病の早期治療、入れ歯の適切な調整、(3)かかりつけ歯科医を持ち定期的に診察を受けること、です。
 
 昨今、私どもの業界ではインプラント、歯列矯正、ホワイトニング、審美歯科などが大流行していますが、「口腔がん」の早期発見と予防こそ、歯科医師の責務ではないでしょうか。少なくとも歯科「医師」と名乗る以上は、それが最も原点だと私は考えています。次回は実際にどんな症状が現れたら要注意なのかをご説明します。
2009年-9月
口の中の「がん」について(その1)
 現在、日本では2人に1人が「がん」にかかり、3人に1人が「がん」で亡くなると言われています。口の中も例外ではありません。世界レベルでみると、口腔がん(口の中にできた「がん」)は、がん全体の約5%を占め、治療法の近年の進歩にもかかわらず、5年生存率は50%にとどまっています。
 
 少しわかりやすく言いますと、舌がんや歯肉がんなどの口腔がんは、しゃべる、飲み込む、咀嚼する(かむ)など、食事や発音になくてはならない場所にできるがんです。それだけに手術による機能の損傷が大きく、外見的にも傷が目立ちますので、患者様に大変辛いがんといえます。
 
 私事ですが、毎月「がんサポート」を購読しています。近親者が「がん」と闘病中で、少しでも役に立てればと毎月必ず読んでいます。
 
8月号には、口腔がんの治療方法について書かれています。その中で、口腔がんは「目に見える部位なのに、進行がんが少なくない」。その理由は、口の中にがんができることを知らなかったり、舌がんは口内炎、歯肉がんは歯周炎(歯槽膿漏)と間違えて放置する人も多いからだという記述がありました。私も同感です。次回は口腔がんの予防や早期発見についてお知らせします。
2009年-8月
むし歯になりにくい丈夫な歯を目指す(2)
前回も申し上げました通り、唾液にはエナメル質の成分となるリンやカルシウムが多量に含まれており、歯の表面のエナメル質が溶けだす作用(脱灰)を防ぐ働きがあります。それでは唾液以外に歯を強くするものはあるのかと言われると、それがフッ素です。
 
フッ素は、むし歯菌(ミュータンス菌)が作り出す酸の量を弱め、再石灰化を促進します。つまり歯のまわりに微量のフッ素が存在すると、歯の質を強くして、むし歯になりにくい丈夫な歯ができるというわけです。
 
歯科医院で受けるフッ素塗布法は、歯の表面に直接高濃度のフッ化物を塗布することにより、より効果的に歯の質を強化します。軽度のむし歯なら、元気な歯に戻ります。約3ヵ月間隔で定期的に塗布するのが良いでしょう。
 
特にお子様の場合、生えてきたばかりの歯は、歯質が弱く抵抗力がないため、むし歯になりやすいので、フッ素を塗ったり、シーラント(前々回のコラム参照)などで、むし歯にならないようフォローしてあげてください。歯磨きや食事も大切ですが、このような努力は、将来健康な歯を保つことにつながります。
 
しかし、フッ素を塗ったからといって、むし歯を完全に予防できるものではありません。また、フッ素の使用は、年齢やお口の状態によって、個人差があります。さらに最近では、フッ素入りの歯磨き剤が市販されていますが、歯科医院で塗布するフッ素と比べると、濃度は低いので効果を過信しすぎるのは良くありません。
 
「むし歯になりにくい丈夫な歯を目指す」ためには、ぜひ「定期健診」と「フッ素塗布」を受けて下さい。
2009年-7月
むし歯になりにくい丈夫な歯を目指す(1)
 私たちが一般的に「むし歯」と呼ぶのは、歯に穴があいて黒っぽく着色している状態を指します。しかし、実際には、口の中では目に見えないレベルで歯が溶けてむし歯ができ、それを修復するという作業が毎日繰り返し行われています。これが歯の「脱灰(だっかい)」と「再石灰化」です。 
 
 食事をしたり甘いものを飲んだりすると、むし歯の原因菌が糖を取り込み、分解して酸を生成します。この酸が歯の表面のエナメル質を溶かして(これを脱灰と言います)、むし歯になるのです。
 
 そしてこの「脱灰」を食い止めて、元通りに修復する(これを再石灰化と言います)役割を果たすのが、唾液です。
 
 しかし歯が酸にさらされている時間が長いと、歯の再石灰化が脱灰に追いつかなくなり、むし歯が進行してしまうのです。つまり間食の回数が多い人、甘いものが好きな人、さらにビールやワインなどのアルコール類も酸性ですので、お酒の好きな方も、むし歯のリスクが高まります。
 
 それでは食生活の改善以外に、むし歯になりにくい丈夫な歯を目指すには、なにが重要かと言えば、先ほど申し上げました「唾液」がキーポイントになります。唾液をより多く出すためには、よく噛むことです。「よく噛むこと」の効用は、むし歯の予防につながるだけではなく、脳の活性化、肥満の防止、糖尿病の予防など健康の増進につながります。また唾液には、むし歯の予防のほか、消化・吸収の助長、口腔粘膜の修復、抗菌作用、食物中の発がん物質の発がん性を予防するなどさまざまな効用があります。
 
 特に小さいお子さんのいるご家庭では、決して食事中に「早く食べなさい」とは言わないようにしてください。早く食べれば食べるほど、噛む回数も少なくなり、唾液の分泌量も少なくなり、むし歯になりにくい丈夫な歯をつくることができなくなります。「ゆっくりよく噛んで食べなさい」と言ってあげてください。
次回は歯を強くする「フッ素」についてご説明します。
2009年-6月
シーラントのおすすめ
今年も学校検診の時期が来ました。もうすでに検診の紙をいただいている学童の方もいらっしゃることと存じます。むし歯に限らずお口の中の病気は、基本的に早期発見早期治療が大切ですので、たとえ自覚症状がなくても検診の紙をもらってきたら、かかりつけ医に受診することが肝要です。
 
 さて「シーラント」という言葉を聞いたことがありますか?正式名は「フィッシャーシーラント」といいます。生えてから2〜3年の永久歯を対象に行う予防処置のことです。特に6歳頃に生えてくる奥歯(第一大臼歯、通称6歳臼歯)の溝を合成樹脂(レジン)で埋めて、細菌や食べかすをつききにくくするむし歯予防法です。もちろんシーラントを施しても100%のむし歯予防が期待できるものではありませんが、むし歯になりやすい6歳臼歯にはとても効果的です。また歯を削らなくてできるということが一番のメリットです。
 
 手前味噌ですが、大阪大学歯学部付属病院小児歯科の大嶋隆教授は、ある雑誌のインタビューでこう述べています。「第一大臼歯は、乳歯の奥に生えるので、本人も親も気づきにくく、歯磨きもしにくい歯。歯垢がたまりやすいので、生え始めの第一大臼歯にフッ素塗布とフィッシャーシーラントをすることは、むし歯予防の基本といわれています」
 
 当院では経験豊富な歯科衛生士3名と女性歯科医師が常勤し、大切な6歳臼歯に積極的にシーラントを行っています。ぜひお子さんの将来のむし歯予防ためにシーラントをしてあげてください。もちろんシーラントは健康保険が適用できます。
2009年-5月
口臭について(その3)
前回のつづきです。口の中の病気が原因で起こる口臭の二つ目は、歯周病です。これが最も多いタイプの口臭です。口腔清掃が不十分で細菌の塊である歯垢(プラーク)が歯周ポケットや歯に付着し、これが口臭の元となるインドールなどの臭い物質を産生します。つまり歯周病の治療と予防をすることが、口臭を防ぐ最良の方法です。毎日のブラッシングはもちろん、歯科医院で定期的に歯石や歯垢を除去し、歯磨き指導を受けることにより、口臭も防げるというわけです。
 
 口腔口臭の三つ目の原因としては、舌苔(ぜったい)があげられます。舌苔は、舌にたまった汚れです。歯垢が歯の表面に付着した細菌の塊に対し、舌苔は舌に付着した細菌の塊です。そういう意味では「舌苔」と呼ぶよりは「舌垢」と言えるでしょう。前々回にもご説明しましたが、むし歯や歯周病のない健康な人で口臭がするのは、舌苔が原因の場合が少なくありません。皆さん一度手鏡で舌を見てみてください。舌の表面が真っ白になっていませんか?
 
 この舌苔も、歯垢を歯ブラシで取るのと同様、舌専用の舌ブラシで取ります。ただし歯垢をと違って、舌苔は完全に除去する必要はありません。手前味噌ですが、当院では経験豊富な衛生士3名が、タングクリーナーといって舌専用の舌ブラシで舌苔の効果的な除去方法を指導いたします。
 このように、口の中の病気が原因で起こる口臭は、細菌が原因の臭い物質ですので、歯ブラシや舌ブラシ、必要に応じてデンタルフロスや歯間ブラシなどを使って適切な口腔清掃をすることによって予防できます。口臭のことで悩まれている方は、ぜひ一度ご相談ください。
 
 そんな暇はないという方にも、口臭の原因となる口臭のガスの発生を塩化水素の効果で抑制するといわれるEBM(医学的裏付け)のある口臭スプレーも受付に置いています。
2009年-4月
口臭について(その2)
前回のつづきです。病的口臭には、口の中の病気が原因の口腔内口臭と、口の中以外の全身的な病気が原因の口臭があります。
 
 最初に全身的な病気が原因の口臭についてご説明します。よく知られているのは,鼻や喉などの耳鼻咽喉科の病気が原因で起こる口臭です。鼻炎などで鼻が詰まると口で息をする口呼吸になります。すると必然的に口の中が乾燥し、唾液の自浄作用が弱まり細菌が繁殖しやすくなり、口臭の原因となります。また意外と多いのが扁桃腺(アデノイド)肥大の方です。よくお母様と一緒に口臭を気にして来院されますが、お子様の口臭の原因の大部分が、扁桃腺肥大かもしくはのちほど詳しくご説明する舌苔(ぜったい)と呼ばれるものです。
 
 さらに口臭を起こす全身的な病気として挙げられるのは、消化器系の病気、糖尿病、肝疾患などです。特に糖尿病の方では口臭が顕著に認められます。
T型の糖尿病の方は、ケトン臭と呼ばれて甘酸っぱい口臭が認められます。U型の糖尿病の方も、末梢血管の循環不全が起こりやすく、重度の歯周病から口臭を引き起こしやすくなります。いずれの疾患も、かかりつけの主治医にご相談して全身的な病気をコントロールし治療することが肝要です。

 次に口の中の病気が原因で起こる口腔口臭についてご説明します。口腔口臭には3つのタイプがあります。1つはむし歯です。むし歯の進行によって歯に穴が空き、その穴に食べカスが詰まったままになったものや、歯の神経が腐敗しそれが口臭の原因となります。老若男女問わず、早急に治療が必要です。
あとの2つの口腔口臭については次回にご説明します。
2009年-3月
口臭について(その1)
 「口の臭い」いわゆる口臭のことを気にされている方は、少なくありません。当院に来院される患者様の中にも、口臭について良く質問を受けます。一口に「口臭」といっても様々なタイプに分類できます。それぞれ簡単ですがご説明します。
 
 まず生理的口臭といって、年齢的に内分泌の変調などにより、口臭が認められる場合です。いわゆる「加齢臭」もそのひとつです。また食物や嗜好品、たとえばニンニクを食べた後、タバコを吸った後にも、その臭いが口臭となります。さらに生理的口臭として、起床時、空腹時、月経時などの口臭などがあります。
 
 生理的口臭の原因の多くは、唾液と内分泌の変調によるものです。起床時に生理的口臭がするのは、睡眠中は唾液の量が減少し、口の中の細菌が増殖するからです。また加齢臭は、年齢とともに唾液の分泌量が減少し、内分泌にも変化が生じ口臭が発生しやすくなるためです。月経時はホルモンのバランスが崩れ内分泌の変調をきたすため口臭が発生すると考えられています。
 
 次に、精神的口臭といって、ストレスからくる緊張などにより唾液の出る量が抑制されるために起こる場合があります。これは意外と多いタイプの口臭で、受験生に多くみられるタイプの口臭です。
 他に心因的口臭という、本人だけが口臭を意識しているのに実際には口臭はせず、周囲は客観的に口臭を確認できない場合もあります。これは自臭症と呼ばれます。
 
 最後に、皆様が最も気にされている病的口臭といわれるものがあります。これについては次回にその原因と治療方法についてご説明します。
 
いずれのタイプに当てはまるか、ご自身で判断せずに、どうぞ口の中の専門家である歯科医師や衛生士にご相談ください。当院では私のほかに経験豊富な3名の衛生士が常勤しており、口臭に関しても的確なアドバイスができるものと存じます。
2009年-2月
歯の外傷(歯のけが、口のけが)その3
 前回は外傷歯の治療方法をご説明しましたが、今回は予防方法をご説明します。歯の外傷は、むし歯や歯周病と違い、突然起こりますので、100%予防するのは不可能です。それではどうするかと申しますと、一番有効な手段は、マウスピース(マウスガード)を口の中に装着していただくことです。
 
 元来、外傷歯の治療と予防は、アメリカで積極的に行われていました。ご存知のように、アメリカンフットボール、アイスホッケーそしてボクシングなどのスポーツはいち早く、マウスピースが義務付けられました。
 
 日本でも近年、コンタクトスポーツが盛んになり、アメフト、ボクシングの他、ラグビーや空手もマウスガードが義務化されました。このマウスガードには、口の中の外傷予防だけではなく、頭部(脳)への衝撃を緩和するという重要な役目があります。
 
 当院では、これまでに100症例以上のマウスガードを作成しました。アメフト、ラグビー、ボクシングのほかに、バスケット、空手、野球、ラクロスの選手たちに使用していただいています。作成方法はシンプルで、まず歯型を取って、次回に装着します。つまり合計通院回数は2回です。ただし健康保険適用外の自費治療になりますので、作成費用を5000円いただいています。色は、オレンジ、ブラック、ブルー、イエロー、グリーン、ホワイト、クリアー(半透明)と7種類の中から選べます。
 
 余談ですが、昨年、中年を過ぎた男性の患者様からご相談を受けました。その方は、野球が趣味で毎週、みんなでチームを組んで草野球を楽しんでおられるとのことでした。若いころに比べて体力だけでなく視力も少し衰えてきて、心配だから、野球をするときだけマウスピースをはめたいが、いかがなものかとのことでした。
 
 私は万が一、ボールやバットが歯に当たった時のことを考えると、マウスガードをはめるべきですとお答えしました。マウスガードを装着することによって、少しでも安全にかつ長く、趣味がつづけられますとアドバイスいたしました。マウスガード装着の当日、少し恥ずかしがられていましたが、とても満足そうでした。ちなみに、色はクリアー(半透明)を選ばれました。そのかたが、毎週マウスガードをして、少年の時と同じように白球を一生懸命追いかけて、野球を楽しむ姿が目に浮かんで、安全を切に願う限りです。
2009年-1月
歯の外傷(歯のけが、口のけが)その2
 前回のコラムのつづきです。今回は外傷歯の治療方法を簡単にご説明します。まず唇と歯ぐきの外傷については前回お知らせしたとおりで、多くの場合将来的な問題を起こすことなく治る場合が多いため、様子を見ます。ただし顔面や唇の裂傷が大きい場合は、外科で処置(縫合)されることをおすすめします。私ども歯科医でも簡単な唇の縫合はできますが、やはり経験豊富な外科のドクターの縫合技術には到底およびません。もちろん病院歯科の口腔外科の歯科医師でも上手に縫合してくれます。
 
 さて歯の外傷には、大きく分けて破折(歯が折れること)と脱臼(歯が抜けること)があります。まず破折についてですが、破折片があれば、レジンという合成樹脂系の材料で、折れた部分を元の歯にくっつけます。破切片がない場合でも、小さければ歯と同じ色をしたレジンで修復できます。ただし破折片が大きく歯髄(歯の神経)が出てしまっている場合は、歯髄(歯の神経)を治療し、人工の歯をかぶせることになります。人工の歯は、前歯でしたら保険の効く白いかぶせもの(硬質レジン前装冠)から、保険の効かない自費のセラミック冠まで様々です。ただ基本的には、歯の神経(歯髄)はなるべく取らないようにします。長い間、外傷歯の治療に携わっていますと、歯の神経(歯髄)を取るべきか残すべきか、微妙なケースに遭遇します。破折片が大きく、神経(歯髄)が少し露出している場合でも、神経の保護剤を塗布し神経を取らずに、レジンで修復し様子を見ることにしています。トライしてみる価値は十分にあると思うからです。
 
 次に、脱臼(歯が抜けること)についてですが、これは完全に抜け落ちてしまう完全脱臼とグラグラしているが抜けていない不完全脱臼があります。
どちらも早急に固定する必要があります。特に完全脱臼の場合は、前回お話したとおり、一刻を争います。もし歯根膜(前回のコラム参照)が生きていれば、歯を元の場所に戻して(これを再殖といいます)固定すれば、歯は再び機能を回復します。固定の方法は色々ありますが、私は加強線というステンレス製の細い金属を使って、レジンで接着させる方法を取っています。多少の出血があっても確実にかつ迅速にでき、しかも固定装置が目立ちにくいからです。原理は腕や足の骨折と同じで、ギブスを入れて動かないようにする要領です。固定期間は症状にもよりますが、約一カ月です。一カ月たって無事引っつけば、固定装置(加強線とレジン)を取り外します。
 
 次回は外傷歯の予防方法についてお知らせします。
2008年-12月
歯の外傷(歯のけが、口のけが)その1
 自転車で転倒し歯が折れた、スポーツしている最中に顔を強打し歯が抜けた、公園で遊んでいるときにぶつかって口の中が血だらけになった、階段でつまずいて顎を打って歯がぐらぐらになった、そんなとき、皆さんはどうされますか?
 
歯の外傷は、むし歯や歯周病と違い、突然起こります。それゆえに知っておきたい知識と冷静な対処が必要です。特に育ち盛りのお子さんや部活でスポーツをされている子供さんをお持ちのご両親は必ず知っておいてください。
 
まず歯の外傷と同時に、歯を保護している唇や歯ぐきが真っ先に外傷を受けることが多くあります。唇や歯ぐきの外傷は多量の出血をともない、本人や周囲の人を心配させます。しかし、多くの場合将来的な問題を起こすことなく治る場合が多いので、冷静な対応が必要になります。
 
出血に惑わされず、歯が折れていないかどうか、抜けていないかどうか、歯がぐらぐらしていないかどうかを把握することが大切です。もしそうであれば、折れたり抜けたりした歯を探し、それを持ってできるだけ早く歯科医院に行くことが必要です。
 
その時に重要なのは、抜けた歯を牛乳の中に入れて来てください。抜けたか折れたか判らない場合でもその歯を牛乳に入れてきてください。牛乳がなければスポーツドリンクでも構いません。決して抜けた歯を水道水で長時間洗ったり漬けたりしないでください。なぜなら水道水に長時間漬けると、歯の根の周囲にあり歯を骨に固定する役目をしている重要な歯根膜という組織が死んでしまうからです。歯根膜は乾燥に弱く、口の外では約30分しか生きていません。牛乳に漬けておくと歯根膜を数時間生かしておくことが可能です。
 
繰り返し申しますが、唇が切れたり舌を噛んで多量に出血していても、冷静に対処してください。もちろん頭部に骨折や意識障害の可能性があるときは迷わず救急車を呼んで外科に行ってレントゲン検査を受けて、しかるべく処置を受けて下さい。その結果、幸いにも頭部や頸部に異常がなく救急医の許可が出たら、すぐに抜けた歯を牛乳に入れて歯科医院に持って来てください。
次回はその外傷歯の治療方法と予防方法をお知らせします。
2008年-11月
電動(音波)歯ブラシ使用の是非について
最近よく患者様に、「電動(音波)歯ブラシを使用していますが、どうですか?」と質問を受けます。反対に「どんな歯ブラシをお使いですか?」という質問に「電動(音波)歯ブラシを使っています」とお答えになる患者様が増えてきています。
 
 電動(音波)歯ブラシ使用の是非について、結論から述べますと、正しく使用すれば、電動(音波)歯ブラシのほうが、手で磨くよりも短時間で歯垢
を除去することができるため、電動(音波)歯ブラシの使用は、有用性が高いといえます。
 
 しかし電動(音波)歯ブラシの使用に賛成しない専門家もいます。その理由として、歯を摩耗させたり、歯肉を傷つける可能性がある、歯ブラシ自体が太くて重い、替え歯ブラシを含め高価である、電気を使用するなどが挙げられます。
 
 実は私は、開業した20数年前から電動歯ブラシを使用しています。確かに当時の電動歯ブラシは、お世辞にも使い勝手が良いとは言えませんでした。当時は手で磨くほうがきれいに歯垢が取れていたような気がします。
しかしこの20年で、電動歯ブラシは格段に進歩しました。最近は電動歯ブラシよりヘッドの振動数が多い音波歯ブラシが主流になっています。
 
 なぜ専門家である私が、初期から電動歯ブラシを使用していたかと申しますと、子供の歯磨きに苦労していたからです。もうひとつ、介護が必要な祖父母の歯磨きにも苦慮していました。小児や介護が必要な年配の方の仕上げ磨きには、電動(音波)歯ブラシがとても効果的です。
 
 また歯磨き粉をつけ過ぎない、強く押し付け過ぎない、ヘッドが小さく毛の硬さが軟らかめのもの使用すると、歯を摩耗させたり、歯肉を傷つけることもありません。手で磨くのと併用されると一層効果が上がります。たとえば、朝は手で磨いて、夜は電動(音波)歯ブラシで磨くというふうにされると良いでしょう。
 
 当院では、衛生士さん三名はもちろん、スタッフ全員に音波歯ブラシを配布し使用してもらっています。手で磨く歯ブラシの使用方法が最も基本であり、重要なことですが、電動(音波)歯ブラシの使用法についても遠慮なくご質問ください。きっと良いアドバイスをお伝えできると存じます。
2008年-10月
歯肉から出血する時の歯みがきについて
 歯肉(歯ぐき)から出血している時、歯みがきを中止すべきか、そうでないかよく相談を受けます。結論を先に述べますと、歯みがきは中止せずに続けるほうが良いということです。
 
 なぜなら歯肉出血の原因の多くは歯周病だからです。出血がある場合、安易に歯みがきを中止すると、歯肉の炎症が増強して、さらに出血しやすくなります。歯肉から出血しても、その部位を、こきざみにやさしく軽く何回も磨くことによって、少しずつ歯肉の炎症がおさまり、出血しなくなります。また親知らずや大臼歯(おとなの歯)が生えてくるときも、歯肉に炎症が起きて出血しやすくなります。ただし例外もあります。
 
 歯肉からの出血を認める場合、原因が歯周病や外傷などの局所性のものと、ごくまれに全身性のものがあります。全身性のものとしては、白血病や血友病、肝硬変などがあります。また心筋梗塞や脳梗塞の治療薬として服用される抗凝固薬(血をサラサラにするお薬のことです)の副作用で歯肉から出血することもあります。これらの全身性の原因で歯肉から出血する場合は、歯みがきは一旦中止すべきです。
 
 いずれにしろ、歯肉から出血する時は、歯みがきは中止せずにしばらく続けてみて、それでも出血する場合は、遠慮なくお越しいただければ幸いです。出血する原因を調べてすぐに対処いたします。
2008年-9月
睡眠と歯科の深い関わりについて
 朝起きると、顎に疲労感や不快感があったり、「寝ているときに歯ぎしりをしていた」と言われたことがある方は、「ブラキシズム」という口の異常な習癖を病的に起こしている可能性があります。また音は出さないが歯を強く噛みしめることを「クレンチング」と言います。
 
 特に病的な「ブラキシズム」と「クレンチング」の力は、ガムを強く噛んだ時の数倍から十数倍に達し、歯が擦り減ったり、かぶせものが頻繁に外れたりするだけではなく、顎関節症や睡眠障害を引き起こします。
 
 つまり病的な歯ぎしりや噛みしめは、眠りを浅くし睡眠障害を引き起こす可能性があると言うことです。
 
 ところが睡眠中になぜ歯ぎしりや噛みしめが起きるのかは、まだわかっていません。つまりメカニズムが解明されてないので、治療法は対症療法となります。中でも寝るときに、歯にスプリントというマウスピースを装着する「スプリント療法」が、歯ぎしりや噛みしめを軽減することが医学的に証明されています。
 
 具体的には、歯科医院で、歯型を取り、スプリントという透明の硬質のマウスピースを作成します。費用は保険適用できますが、三割負担の場合一部負担金は、約5000円ぐらい必要となります。
 
 もうひとつ、あえぐような激しいいびきの後に呼吸が一時的に止まる「睡眠時無呼吸症候群」も睡眠障害を起こします。この病気の治療法は「鼻CPAP(シーパップ)」が基本ですが、軽症の方は歯科で、マウスピースの一種である「スリープスプリント」を作成し使用することにより、症状が改善することがあります。これも保険が適用できますが、歯科単独では無理で、耳鼻科または内科のドクターの診断書が必ず必要となります。
2008年-8月
なぜ寝る前に歯を磨くことが重要なのですか?
お口の中には、いろいろな細菌がいますが、中でもむし歯の原因菌として知られているのがミュータンス菌です。最近の調査で、このミュータンス菌が夕食後、歯を磨かないで寝ると、翌朝起床時には前日の夕食後と比べて、約30倍に増えることがわかりました。就寝中は唾液の分泌量が少なくなり、自浄作用が低下し、さらに就寝中は適度な温度が長時間保たれるため、細菌が最も繁殖しやすい状態になるからです。
 
つまり、「むし歯は、夜つくられる」ということです。だからこそ、むし歯予防や歯周病予防のためには、寝る前に念入りにブラッシングを行い、清潔にしておくことが大切なのです。特にお子様のいるご家庭では、夜寝る前に歯を磨く習慣をしっかり見につけるようにお願いします。
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